おんぶをせがむとて。
小さい頃、
父親とよく電車の旅に出た。
父親は休みが不定休だったので、
私が休みの日と父親の休みのタイミングが、
被るときが中々無かった。
なので、休みが一緒に日は、
どこかへ連れて行ってくれた。
時には、湘南の海へ、
時には、長野へ蕎麦を食べに、
私が土日に習い事を始めるまで、
様々な場所へ連れて行ってくれた。
私は小さい頃から電車に乗ることが好きで、
父親もどこかへ行くことが好きだったので、
いわゆるWin-Winの関係だった。
大体、
午前中から、夕方まで、
ほぼ一日中使ってどこかに行くので、
夕方になると、
段々と疲れてきて、
つい父親におんぶをせがんだ。
しかし、
父親はおんぶをしてくれなかった。
男が泣き言を言うなと、
決して背中を貸してくれなかった。
当時の私は、
その背中がやけに遠くて、
やけに大きく感じた。
その旅は、
結局小学校の低学年くらいで終わってしまって、
それから父と二人でどこかにいくということは、
していない。
きっと今なら、
父の背中なんて頼らずとも、
生きていけると思う。
が、
父の背中が少し恋しい時もある。
おんぶしてくれないかな。
きっと、今の私を、
父がおんぶしたら、
確実に潰れるな。
では、
この辺で、お暇いたします。
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